大阪市舞洲工場と舞洲スラッジセンター


 

大阪市環境事業局舞洲工場と大阪市都市環境局舞洲スラッジセンター Osaka,JAPAN(2005年3月)


前回の訪問は2001年。ユニヴァーサル・スタジオOPENの直前でした。あれから早4年。

リンク: 珍スポ大百科 大阪フンデルトヴァッサーのゴミ焼却場(2001年)

今回は用意周到。ゴミ焼却場の内部見学を事前予約しての来訪です。

JR西九条駅で、かなり強烈なデザインのシャトル列車に乗り、終点「桜島」下車。

シャトル列車、こんなのです。↓ベタベタなアメリカン。

リンク: JRおでかけネット 新シャトル登場!

 

駅からはエコ仕様のCNG(圧縮天然ガス)ノンステップバスなるものに乗車。とにかく車体が低い。

屋根の上に大きなガスタンクが乗ってます。あ、これ「愛・地球博」でも走ってました。

バスについての詳しい説明はこちらのページで。↓

リンク: やまひろネット CNGノンステップバス

さて、この先は此花大橋を渡ってすぐ、左側にゴミ焼却場が見えて来るはず。夜の此花大橋ってこんな感じ。↓

リンク: 夜景の感動をあなたの元へ 此花大橋

 

ん?左側にはゴミ焼却場・・・橋をはさんで・・・あれっ右側にも、同じようなフンデルトヴァッサー式巨大建物が!!!

デザインが微妙に異なる煙突のある大きなお城が、対になって建っている!双子?

↓左の建物、右の建物↓


   

 

  


本当は橋の中央から、左右にドーンとそびえ建つ二大巨頭を広角で撮影出来たらいいんですけど。難しい。

まあとにかく、橋の向こうは夢の世界〜舞洲ファンタジーランド!状態になっていたわけです。

これには、たまげた。

 

写真のあちこちに巨大クレーンが写っていますが、これは両建物には関係ありません。両建物はとっくに完成して稼動しています。

この辺り、ほとんどが工事中なのです。

あたり一面ダンプと轟音と地響きと、そこはかとなく漂う生臭い香り(海だから?埋め立てだから?)に包まれています。

 

ではまず右の建物から。左の「ゴミ焼却場」の分館かと思ったら、まあ、大違い。

何しろ管轄が全然異なってます。こちらは都市環境局のもの。以前は、下水道局と呼ばれていた部署です。

正式名称は、「大阪市都市環境局 舞洲スラッジセンター」。

リンク: 大阪市都市環境局舞洲スラッジセンター

 

スラッジセンターとは、下水を処理した際大量に発生する汚泥を処理するための施設。

ここでは下水汚泥を焼却し、建築素材として有効利用出来るようにしています。

建物はお向かいさん同様、丁寧な仕上がり。管轄が違っても建てた業者は同じなのでしょうか。


  


新しいのでタイルはピカピカ。光が当たるとまぶしいくらい。

大きすぎて、ちょっと全体像を伝えられません。


  

  

  


建物の周りには、開放緑地、ジャブジャブ池、噴水なんかが整備されていますが・・・ここで遊ぶ人はおそらく皆無。

あたりの空気が悪いし、匂いも凄いし、工事うるさいし。

結構しっかりした柵があって、建物内部には近付けないようになっています。


    


関東ではあまり見かけない、差別を禁止する看板。

そう。この辺りは荒くれ男が働くエリア。食堂だって、男前。こじゃれたレストランなんかありません。


  


おっとゴミ焼却場見学の時間だ。3分程歩いて(広い横断歩道を渡る)移動。水色の煙突を目指します。

見学申し込みの詳細は、こちら。↓

リンク: 大阪市環境事業局舞洲工場


  

  


なんだか係の人に物凄い勢いでせかされて、見学スタート。

案内の人、仕事に飽きてるんでしょうなあ。早口で走るように移動する。

おしゃれなエントランス。



大きな子供の絵とフンデルトヴァッサーコーナー。あーせかされるー。模型ゆっくり見たいのに。

他にもフンデルトヴァッサー建築の写真展示がありました。


  

  


まあ、ここからは普通のゴミ焼却場見学と同じ。とにかく大きい。館内の気温は高めでした。

超巨大UFOキャッチャー方式でゴミを集める、の図。


  


小学生の社会科見学に対応しているのでしょう。キャラクターが説明する映像やクイズなどが続きます。大人には結構つらい。

そんな時でも、アニメの登場人物は関西弁を話し、ボケとツッコミがいる。さすが。


  

  

  

自慢の空中庭園。歩かせてくれなかった。せっかくの内部見学なのに、面白そうなところには入れません。


  


管理の方も見られっぱなし。ガラス張りの職場。


  


慌ただしく移動して、見学終了。正直、あまり面白くなかった。

ダイナミックなゴミ燃やし!暴れるダンプカー!などを想像していたもので。

安全のためか、かなり遠くの自動作業をガラス越しに眺めるだけって感じです。内装は特に工夫なし。

 

たまたま今朝、テレビ朝日の「スーパーモーニング」で、この建物を大々的に取り上げていました。

テーマはもちろん「大阪市の無駄使い」。こちらは「バブルの塔」の象徴として登場。

(何故か「舞洲スラッジセンター」は完全無視。説明が面倒だし、内部に入れないからなのでしょうか。)

レポーター氏の調べによると、煙突だけでノーマルタイプの物より9億円余計にかかっているそうです。

全体としては凝った装飾のせいで2割増になったとか。デザイン料は6千万円。

・・・フンデルト翁の顔写真を出して「偉い人のデザインはこだわりがあるからねえ」とか皆でブツブツ。

ヴァッサーファンとしては何も言えず、ただ胃が痛い。

 

市長は一生懸命言ってました。

「この建物のおかげでウィーンと姉妹都市になり情報交換もしている。良い関係が築けた。9億円は安い!」

 

番組、説明をひとつ忘れてました。この建物が生まれたきっかけは、バブル経済だけでは無いのです。

そう、「大阪オリンピック」。

ここでオリンピックを開催する予定だったのです。だからゴミ焼却場もイメージアップをはかった。

ここでオリンピックが行われていたら、世界中のお客さんが「ワンダフル!」と言ったことでしょう。

・・・寂しい。せめて万博でもあれば。

 

ある識者によると、大阪市は平成19年に破綻するそうです。(テレビ朝日「スーパーモーニング」より)

そしたら公共工事、ストップになることがあるとか。

この一帯はまだまだ工事中。それが止まったら、建物は「廃虚に咲くケバケバしい花」になる。

フンデルトヴァッサーの理想と、あまりにも対極にある世界。

もう全部やめて森にしちゃったらどうでしょう。ヴァッサー建築は緑に囲まれた時が一番美しい。

 

生まれた場所と時代が悪かったのか。これからもきっと怒られ続けます。

常時見学可能とかもうちょっとオープンにしたらどうでしょう。

でもまあ、そうするとまた予算が必要になるし。ホント難しい問題ですね。

(2005年3月)